2020/08/18 13:02


オーダーを聞きに行くと


「ブレンド1杯」


と言われる事が多々あります。


私のいたお店には「本日のおすすめ」があって、一番金額が安いのがそのコーヒーになります。


本日のおすすめは豆が毎日かわって、ブレンドの日もあればストレートの日もあります。


今日の本日のおすすめはストレートなのでブレンドはこちらからお選び下さい・・


なんていちいち言っていたらポカーン( ゚д゚)とされます。


結局ほとんどの人が「本日のおすすめ」を頼むわけです。


お客様にとってのブレンドとは何なのか・・・


それは最後までのお楽しみ・・


今回はブレンドとストレートの違いを探っていきます。


ブレンドとは


ブレンドとは単純に「混ぜ合わせる」という意味です。


そしてコーヒーの場合のブレンドは違う国の豆が混ぜ合わさったやつだよ!という意味です。


何種類の豆を混ぜなきゃダメなど一切決まっていません。自由にブレンドする事ができます。


ただし銘柄(ブルーマウンテンとかキリマンジャロなど)をうたう場合には3割以上その豆をブレンドしなければ表記してはいけません。


ではなぜブレンドするのでしょうか?


安定供給のため

まずコーヒーは農作物です。


豊作の年もあれば不作の年もあります。また出来の良し悪しも毎回変わります。


その為、毎回安定して仕入れることが難しい豆もあります。


いつも通りの豆を買って、いつもと味が違ったらあなたならどう思うでしょうか?


それが美味しく変化したなら問題ありませんが


不味く感じるようになってしまえば次は違うお店で買うのではないでしょうか?


お店としても次回は仕入れられない!とか毎回味や風味が変わってしまう!となると安定した売上を作るのは困難です。


そこでいつでも同じ味を再現するためにブレンドをしています。


仮にいつも仕入れているブラジルの農園が今年は不作であったとしても


違う農園から仕入れる事でいつもの味に近づける事ができます。


そうやって変わらない味を作る為にブレンドをしたりします。


価格を下げるため


ブルーマウンテンって高いですよね?そのまま買うと100gで5000円なんてお店もあります。


あまりに高いとやっぱり買うのに躊躇してしまいます。


そこでブルーマウンテンの良さをなるべく残すイメージで他国の豆をブレンドしたりします。


ブルーマウンテンの特徴を残したまま、価格面を抑える事ができます。


もう少し気軽に豆を楽しんでもらえます。


尖った味を丸くするため

ブルーマウンテンのブレンドでは特徴をなるべく残すイメージでしたが


ここでは「特徴が強すぎて慣れるまで飲みにくい味」を


「特徴を抑えバランスの良い味」にするためブレンドしたりします。


例えばエチオピアモカなどそのままでは酸味が強い豆に他国の豆をブレンドすることで酸味を抑えたうえで


モカの余韻を楽しんでもらう・・・みたいなイメージです。


個性の強い豆がを主役にしておいて、他国の豆に縁の下の力持ち的な役割を演じてもらう事ですばらしい舞台にする!という感じです。


なのでブレンドタイプは総じて飲みやすくなっていると思います。


鮮度管理・在庫管理のため

コーヒーは鮮度が命ですので鮮度管理はコーヒー屋にとって腕の見せ所でもあり死活問題でもあります。


そこで豆の回転をよくするためにブレンドでも使用したりしています。


また、お店の規模にもよりますが・・例えば10種類の豆を販売したいとします。


すべてストレートで揃えようと思うとそのまま10種類の豆が必要になります。


そこで数種類はブレンドとして商品にする事で豆の種類を抑える事ができます。


配合を少しかえる事で「限定ブレンド」を作ったりする事も可能です!


原価を抑えるため


聞こえが悪いかもしれませんが、何割かグレードの低い豆をブレンドする事で原価を下げたりしています。


店頭で「お得用」としてリーズナブルな豆が売っていたります。


大抵のコーヒー豆のパッケージの裏表記には国名しか書かれておらず、グレード(等級)までは記載がありません。


価格のリーズナブルな豆を用意することでその分お客様にも買ってもらいやすくなります。


とにかく買ってもらはないと始まりません、最初はお得用豆から入ってもらい徐々に仲良くなっていけばいいです。


オリジナル商品として


独自の焙煎と配合でブレンドした世界で一つのブレンドコーヒーをつくるためにブレンドしたりします。


馴染みの喫茶店にいけばお店の名前が冠になったブレンド(ハウスブレンド)があったりしませんか?そのコーヒーはそのお店でしか買う

事ができません。


いつもの味に慣れてしまえば、よそのコーヒーはどうもしっくりこなかったりします。


どこでも買える物なら家の近くだから・・とか値段が安いから・・で決められてしまいます。


そのため、お店のコンセプトを形にすべく・お客様にお店のファンになってもらえるようブレンドします。


プレミックスとアフターミックス


ちなみにいつ豆をいつブレンドしたかでプレミックスとアフターミックスにわかれます。


プレミックス


は焙煎の前にブレンドして一緒に焼きます。混ぜてやくので表現できる味の幅は狭いですが製造的には楽ちんです。


単価の安いブレンドは大きな焙煎機で一度に大量に焙煎されたプレミックスである事が多いです。


アフターミックス


こちらは焙煎の焼いた豆をブレンドして作ります。


それぞれの特徴を引き出した豆をブレンドする事ができます。表現できる味の幅も広く無限大です。


一つのブレンドを作るために焙煎仕分けなければならない文コストもかかります。


ストレートとは


ストレートとは他国の豆が混ざっていない、生産国が1ヶ国からなる豆です。


商品名には国の名前が最初に来ることが多いです。


ストレートではその国の特徴が表れており、良くも悪くも個性的です。


さらに精製方法の違いでも味がかわり、さながらワインの様に楽しむ事ができます。


ですがここではあえて「生産国が1ヶ国からなる豆」と書いたんですが


ストレートであってもブラジルのブレンドであったりする事もあります。


これは安定供給や品質維持のためにブレンドしています。


いつも仕入れているブラジルの農園が不作だったので違うブラジルの農園から仕入れた豆を何割かブレンドする事でいつもの味にしたりしています。


はちみつも糖度が高いものと糖度が低いものをブレンドする事があります。


その中で聞くようになってきたのがシングルオリジンです。


シングルオリジンとは


シングルオリジンとは単一国家・単一農園の豆になります。


さらには単一品種・精製方法も同じで生産者も同じといったコーヒー豆になります。


同じブラジルの豆でも、ブラジルとしか表記されていない豆はブラジルであればどこで取れようが、品種を混ぜようが、誰が作ろうが嘘はついていません。


タンザニアでは差別化するために「キリマンジャロ」とうたわない商品も増えてきました。

 

それに対してブラジルの〇〇農園の〇〇さんが作った〇〇という品種で精製方法は〇〇とまで記載してあれば安心感が違います。


生産者の顔が見えるだけで全然違います。


そこまでさかのぼって追いかける事ができる豆をシングルオリジンといいます。


牛丼屋に行ったら「お米は〇〇産」など表記があります。


米(こめ)トレーサビリティーという言葉を聞いたことがありませんでしょうか?


これは米トレーサビリティー法という法律で


お米、米加工品に問題が発生した際に流通ルートを速やかに特定するため、生産から販売・提供までの各段階を通じ、取引等の記録を作成・保存、お米の産地情報を取引先や消費者に伝達しましょう!と定められたものです。


食の安心・安全を構築するためにつくられた法律になります。


そのコーヒーバージョンがシングルオリジンというわけです!


ブレンド=普通のコーヒー

ここまではブレンドとストレートの違いをみてきましたが、冒頭のお客様は違った意味合いで使っていたりします。


わたしが接してきて思ったのは「ブレンド=普通のコーヒー」という意味です。


普通=飲みやすいという感じです!


ブレンド1杯と言われたら・・・


今日のおすすめはストレートですけど「本日のおすすめ」でいいですか?飲みやすい味ですよ☆


みたいな感じで答えたら大抵の方は「本日のおすすめ」を頼んでくれます。


アメリカンコーヒーについても毎回説明しても伝わなかったりしますので


「本日のおすすめ」をお湯で割ってアメリカン風にしましょうか?なんて言っていました。


わたくし的には逐一訂正したり説明したりするより気持ちよく飲んで帰って欲しいとの思いでお客様の気持ちを察するようにしていました。


お客様を否定したくないですし、ニュアンスが間違って広まっている事なんてたくさんありますから・・・


ちなみにブレンドとストレートどっちが美味しいのか・・とか良いのか悪いのかなんて特にないと思っています。


コーヒーは嗜好品ですから、結局は好みですなんです。